良い「質問」とは何か。【駆け出し編集長の仕事術】

こんばんは。
播磨の魅力を発信するメディア「palette」のライター、ロペスです。

インタビューや取材といった、人の話を聴いてまとめる機会が多いメディアのお仕事。単に情報を引き出して発信するだけでなく、そこに関わる人の「想い」の部分や「価値観」まで深く掘り下げ、血の通った記事を読者の皆様にお伝えできるよう日々奮闘しています。

しかし、この仕事をし始めた当初はテンプレート通り時系列で聞くことくらいしか出来ませんでした。

どうすれば相手に気持ちよく話してもらえるのか。
どういった質問を投げかければ、「想い」や「価値観」に触れることができるのか。

暗中模索ながらも自分なりに工夫を重ね、今では

「自分でも気づかなかった価値観に気づくことができた」

「考えが綺麗にまとまり、記事として見返すことで大事なことを再確認できた」

といったありがたい言葉をいただける機会も増えてきました。

加古川ライター、ロペスの仕事術。今回は「想い」を聞き出すために、どういった「問い」を立て、どのようにインタビューを展開していくのか。その方法について簡単にご紹介します。

「良い質問」とは何か

まず、そもそもここで言う「良い質問」とは何なのか。そこから考えていきたいと思います。

当メディアでも度々ご紹介している通り、私はもともと教育畑の人間です。教師の仕事は様々ありますが、その中でも日々の授業が一番の要。そして授業において核となるのが今回のテーマである「問い」です。教科書をもとに、どういった切り口で問いをつくり、児童生徒に投げかけ、思考を刺激して学びを生むのか。ここに教師としての「腕」があらわれると、大学の授業では口酸っぱく言われたものでした。

同じ教科書の題材を使っても、教師によってその切り口は様々。最終的に何を考えさせ、何を得させたいのか。そこから生まれた問いが、授業の核となり、一時間の流れをつくっていきます。この「問い」に関して、面白い図解があったので以下にご紹介。

これは「思考コード」と呼ばれるもので、それぞれ領域ごとに「どういった操作が必要か」「どのような能力が試されるのか」がわかりやすく分けられています。一番左下のA1はいわゆる「確認の質問」と言われ、内容を理解しているかどうか、知識が定着しているかどうかを問う質問。右上に領域を移動していくごとに難易度は高くなり、頭に汗を書いて考えなければならないものになります。これをインタビューの質問に置き換えて考えてみましょう。

A1の質問ですが、このレベルならネットなりパンフレットなりで事前に調べてこれるもので、とてもじゃありませんが良い質問とは言えません。相手によっては「そんなことも知らずにインタビューに来たのか!」と怒られることもあるかもしれない。調べればわかることを聞くことほど無駄なことはないと思っているので、初対面で会話の流れを作る必要があるなどといった特別な場合を除いては原則しないようにしています。

ではどういった質問が良い質問なのか。

自分は右上の領域に上がれば上がるほど、良質な質問になると考えています。相手の思考を深くしたり、あるいは違う視点で広げたり、「そう来たか」と思わせる。そんな刺激的な問いです。

インタビューの進行上、簡単な質問から始めていくことが多いですが、それだけでは単調でつまらないものになりかねません。要所要所で上記のような「おっ」と思わせる質問を混ぜていく。そうすることで単に一問一答を繰り返す情報収集のためのインタビューでなく、お互い新たな気付きや学びが生まれるような生産的なインタビューができるのではないかと思っています。

良い質問を構成する3つの力

良い質問がどういったものかを皆さんと共有した上で、次に「じゃあどうやったらそうした質問がつくれるの?」のところを考えていきます。今回参考にさせていただいた本がこちら。

ビジネスの花形とも言える職業、コンサルタント。彼らの仕事の要である「質問」、その力について書かれた本です。こちらの本では以下の三要素が質問力を構成すると書かれています。

仮説力

単に相手の考えを聞くだけでなく、自分はこう考えますがあなたはどうですか?と問いかけるために必要な力。質問力の基本の基。

「〜についてどうお考えですか?」

と投げかけても、事前に相手が整理して答えを用意していない限り、まとまった答えは帰って来ず、漠然としたやり取りになります。
例えば学生の勉強時間といったテーマで質問をする場合。

「学生の勉強時間について、どう思いますか?」

なんて聞いたところで

「まあ……単位落とさないようにぼちぼち頑張ってます。」

くらいしか返ってこない。

ここで自分の仮説、考えを含めた以下のような質問を投げかけてみたらどうでしょうか。

「最近学生の勉強時間の減少が問題になっていますが、学生もアルバイトや講義などで忙しく、中々時間が捻出できないのが現状で、自分はそこを責めるのも酷かなと思うんです。そのあたりあなたはどう捉えていますか?」

こう問いかければ、相手も

「たしかに大変だけど、大学は勉強しに行っているので、限られた時間内で頑張ろうと思っています」

「昔ほど学費も安くないし、アルバイトでなんとか生活をつないでいる学生たちもいるので、数値だけ見てそういった批判を向けるのはどうかと思います」

といった、その人なりの考えや価値観の部分まで引き出すことができます。
相手の考え、価値観を深掘りするために、自分の仮説を使う。こうした手法は私のインタビューでも度々取り入れており、その度に相手が「うーん」と頭を捻って自分の言葉で考えや価値観を話してくれます。

本質力

二つ目がこちら。相手の考え、価値観を整理し、的確に投げ返すときに必要な力であり、「そう!そういうことなんだよ!」と相手に言ってもらえる、思ってもらえる力のことです。

場を「見える化」し、「論理的に整理」し、「内容の絞り込み」をし、最終的にまとめる。

そうすることで時系列や因果関係がバラバラだった会話がきれいにまとまり、整理され、インタビューが円滑に進みます。
本質力とは真因探求力であり、「つまり……」「要するに……」「一言で言うと……」の「……」部分に納得感を持たせられる能力です。常に上記の「つまり何なのか」「要するにどういうことなのか」「一言でまとめるとどうなるのか」を意識して話を聴くクセをつけておくと、整理しまとめる力が磨かれていいかもしれません。

シナリオ力

最後はシナリオ力。質問の流れをデザインする力のことです。

どのタイミングでどういった問いを投げかけるか、相手のペースに合わせて質問を組み立て、問いかけ、深めるあるいは広げていく力。シナリオ力が無いと、話が脱線してあっちこっちに散らばったり、「え?ここでその質問なの?」と思われたり、インタビューの流れが悪くなりかねません。

paletteのインタビューは基本的な構成は統一されており、時系列で進むようになっています。なのでインタビューの際、「こういった流れで進めます」とあらかじめ話をして進めます。その中で特に気になることや深く聞きたい部分を上記の「仮説力」で切り込み、「本質力」でまとめ、本軸の流れに戻って進めていくという方法をとっています。

まとめ

いかがだったでしょうか。良い質問とは何か。良い質問をつくるためにはどういった力が必要なのか。一年間という短い期間ではありますが、以上の疑問と真正面から向き合い、勉強し、実践し、体系化してきたものを記事としてまとめてみました。

インタビューや取材といった場面のみならず、質問はあらゆるところで使える汎用性の高いスキルです。是非参考にしてみてください。


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この記事を書いた人

ロペス

1992年、奈良県生まれ。少年の心を忘れない26才児。paletteの編集長兼ライター。通称「ロペス」。畿央大学教育学部を卒業後、東京の人材派遣会社に就職。その後小学校教諭、塾講師、認定子ども園保育補助を経て現職。人、モノ、場所の魅力を引き出し、記事として発信するため日々奮闘中。目下の悩みは「終わらない成長期」。ダイエット方法募集中。