【兵庫県・姫路市】街は「おかえり」と、口に出して言っちゃあくれないが、

街が、動いていないーー。

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先月、仕事を終えて職場を出た23時ごろ。
いつものようにイヤホンを耳にかけ、ネットラジオを聴こうとして、ふと違和感を覚えた。

街から光と音が消えている。

いつもは目にも耳にも煩いくらいにあふれているはずのものが、姿を消している。

本来であれば、仕事終わりのこの時間、必ずと言っていいほど酔っぱらいがフラフラと泳いでいる商店街。

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誰もいない。

店先に目をやると、足下に”臨時休業についてーー”と書かれたラミネート加工の掲示が寂しそうに横たわっている。

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局所的なものかと思い、姫路市が誇る大規模な商店街「みゆき通り」に足を伸ばしてみるも人影はなく、水を打ったようにしんと静まり返っていた。

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さすがに駅には人がいるだろうと思って向かってみれば、

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塾帰りに買い食いしながら連れ立って歩く学生も、

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飲み屋帰りでタクシーにもたれかかっている酔っぱらいも、

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ストリート系のファッションに身を包んだ若者も、そしてセットで聴こえてくるはずの音楽も、

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何もない。誰もいない。
全てが姿を消していた。

姫路駅で、自分の足音が反響するのを初めて耳にした。

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誤解の無いように言っておくと、普段はこうではない。断じてそんなことはない。

世界遺産である姫路城を有し、人口50万人を超える兵庫県姫路市。
商店街はがやがやとした喧騒があったし、深く息を吸い込むと酒のアルコールと料理の油のにおいがした。

駅の改札前では別れを惜しんで人目を憚らずに抱き合うカップルや、酔っ払って抱き合うスーツ姿の大人がいたし、終電間際になると「ここは簡易宿泊所か」と思うくらい、酔っぱらいがベンチで大口を開けていびきをかいていたものだった。

上記の写真では人気の無い大通り。
昨年11月に大手前通り活用チャレンジ「ミチミチ」が行われた際はたくさんの人がいた。移動するたびに「すみません、ちょっと通ります」と言わないと通れないくらいに。

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駅前広場は学生有志たちによる音楽のパフォーマンスや飲食系の出店、校内発表会の展示などで賑わっていた。

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当たり前の日常の風景でわざわざ記録に残そうとも思わず、写真で紹介できる量は少ないが、こうではなかったのだ。

多少の加工があるとはいえ、写真を撮ったとき、こんな青みがかった寒色が出る街ではなかった。
自分の記憶では、飲み屋の赤提灯や白熱灯がレタッチの邪魔になるくらい、暖色がお似合いの街だった。

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大通りを走るパトカーのサイレンの音も、赤提灯の奥からビール焼けした濁声で「やっぱりうちの街はこうでなきゃいけねえ」と騒ぐ酔っぱらいの声も聴こえなくなった。

当たり前が当たり前じゃなくなったとき、初めてその大切さに気づく。街の良い部分悪い部分にかかわらず、失ってしまったときに懐かしさを覚える。

自分はいつのまにか、この街を好きになっていたのかもしれない。



今日仕事を終えて街に出てみると、少しずつ人が戻り始めている気配を感じた。

6月1日には緊急事態宣言が解除され、休業要請も緩和の方向で進んでいる。地域の飲食店は徐々に稼働し始め、街に懐かしい暖色が戻ってきつつある。

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飲み屋の外の席で騒ぐ大人たちも帰ってきた。

駅前広場のたむろする若者や、

ストリートファッションの彼らの姿も見えた。

街は口に出して「おかえり」と、言ってくれるわけじゃない。でも、自分にはそれが聴こえるような気がしたし、「ただいま」と言える日常を渇望しているのも事実だ。

旨い酒が飲みたい。美味しい料理をたらふく食いたい。仲の良い友人たちと、商店街のど真ん中をフラフラと泳ぎたい。

そしていつかこの街で、「やっぱりうちの街はこうでなきゃいけねえ」と、濁声で騒ぐおやじになっていきたい。

そんな特別でもなく美しくもない、当たり前の日常の足音が聴こえてくるのを、ずっと待っていた。

街に人が、灯りが、日常が、もうじき帰ってくる。

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この記事を書いた人

ロペス

1992年、奈良県生まれ。少年の心を忘れない26才児。paletteの編集長兼ライター。通称「ロペス」。畿央大学教育学部を卒業後、東京の人材派遣会社に就職。その後小学校教諭、塾講師、認定子ども園保育補助を経て現職。人、モノ、場所の魅力を引き出し、記事として発信するため日々奮闘中。目下の悩みは「終わらない成長期」。ダイエット方法募集中。