【兵庫県・加古川市】「おいしくて、いいものが溢れる世界へ」【510cafeオーナー:後藤 琢臣】

こんばんは。
加古川の魅力を発信するメディア「palette」のライター、ロペスです。

paletteでは、インタビューを通して「やりたい!」を持った若い地域プレイヤーの挑戦を応援する仕事をしており、今抱えている仕事の大半がそうです。そのため、日々の仕事を通して挑戦する若者と関わる機会が多くあります。

しかし、こちらに引っ越してきた当時は「若者なんて本当にいるのか!?」と心配になるくらい若者に出会わず、学校や塾、ショッピングモール以外の場所で地域の若者の姿を見る機会はほとんどありませんでした。

地域で挑戦している若者や、挑戦したいと思っている若者とどう出会えば良いのだろう。
そもそもこの地域にそんな若者は存在するのか。

頭を抱えながらも何とか動き続け、ようやく形になってきたのがここ最近。今では色んなプレイヤーと関わり、プロジェクトを動かせるようになってきました。

ちなみに、私もいわゆる「ゆとり世代」で社会の中ではまだまだ「若者」。彼らはそれより下の世代、いわゆる「Z世代」「ミレニアル世代」と呼ばれる世代の若者です。特徴は以下の通り。

この世代は一般に、バブル崩壊後の急激な景気低迷期に育ったことと、生まれた時にはすでにネットが普及していた“デジタルネイティブ”であることが特徴だと捉えられることが多い。大企業が相次いで破綻する様子を見ながら育ち、未来に明るい希望を抱いていない。その一方で、リーマンショック後の過去最悪の就職難を過ぎてから成人しているので、絶望的な体験にも乏しい。何もしなくてもそこそこ生きていけるため、良くも悪くも「未来を良くしよう、変えていこう」というインセンティブが弱いといわれる。


(引用元:データで見る日本のミレニアル世代の特徴

ステレオタイプ的な見方に陥らないよう注意が促されているものの、この結果と考察。上記の通りだと、この世代には表立ってことを起こす若者はあまりいないように思えます。
しかし、どの世代であれ一定の割合で「異端児」は存在し、プレイヤーとして頭角をあらわすような「例外」が必ず出てくるのが世の常。

「コーヒーで世界を変えたい」

その言葉を聴いたのは一人の若者のインタビューをしている時でした。一瞬手が止まり、思わず「今なんて?」と聞き返したのを覚えています。

前述の通り、ミレニアル世代は一般的に「そこそこ」で満足するような足るを知る世代だとされています。夢や希望は個人サイズ。興味関心も、自分と仲の良い友人たちや家族といった、気心知れた狭いコミュニティに限られる。そんなミレニアル世代ど真ん中の若者から「世界を変えたい」といった大きな言葉が出て来たので、正直驚きました。

「自分はコーヒーを通して、世界を変えたいんです」

繰り返される言葉に鈍い反応を示す私でしたが、真っ直ぐな眼で語る彼の口調は伊達や酔狂ではなく真剣そのもの。発言の端々からは、これまでインタビューしてきた他の若いプレイヤーと同じ「異端児」の匂いがしました。

そうか。
彼もまた、そうなのか。

加古川ライター、ロペスの人物インタビュー。今回は「ホンモノのコーヒー」を広げるため、地域を跨いで活躍する510cafeのオーナーに話を聴いてきました。

後藤 琢臣(ごとう たくみ)

兵庫 播磨 姫路 加古川  インタビュー palette 510cafe コーヒー NPO法人一杯のコーヒーから地球が見える

兵庫県加古川市出身、1996年生まれの21歳。あだ名は「ごっちゃん」。生まれも育ちも加古川市で、平岡小学校、平岡南中学校を経て加古川南高校へ進学。その後、神戸国際調理製菓専門学校(エコールCP)で製菓について2年間学ぶ。卒業後は就職の道を選ばず、「ホンモノのコーヒー」を広げるためフリーで活動を開始。現在加古川市を中心に、加西市のソーシャルキッチン「O Cha No Ma」や大阪府西成区の日替わり店長のお店「CASE」などで出店している。

後藤 琢臣
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510cafe

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後藤 琢臣が提供する「ホンモノのコーヒー」。「510」は本名の「後藤」から来ており、読み方は「ごとう」。これまではイベント出店が中心だったが、今年の10月1日から加古川に実店舗がOPEN。「ホンモノのコーヒー」を届けるために、コーヒーの提供だけでなくセミナーも行っている。

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加西市のソーシャルキッチン「O Cha No Ma」にて。
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野外イベントでの出店。

・「510cafe 0章店」
住所兵庫県加古川市平岡町山之上526-4
・オープニングイベント
510cafe 0章店 爆誕祭

ネットでは生豆、家庭で焙煎から飲むまでに必要な備品の販売も行っており、以下のサイトより購入できる。
・510coffee

今後商品開発にも力を入れていく予定で、今年7月に販売開始した「加西果実甘酒」の商品化も手がけている。

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コーヒーとの出会い

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ロペス:知り合ってから、ここまで長かったね。やっとインタビュー出来たって感じ(笑)加古川に来て、「かこがわ飲み会議」に参加して、初めて出会った若者がごっちゃんだった。

ごっちゃん:そうですね。去年の春に初めて会ってから、長かったです(笑)

ロペス:一緒に活動してきたこともあるし色々知っているんだけど、今回は改めてごっちゃんのルーツや思想・哲学を聞けたらと思っています。

ごっちゃん:よろしくお願いします。

ロペス:最初にごっちゃんの活動のきっかけを聞きたいんだけど、コーヒーと出会ったのはいつ?

ごっちゃん:高校の時ですね。当時母親が「NPO法人一杯のコーヒーから地球が見える」と出会って、その影響でコーヒーについて興味関心を持つようになりました。僕の通っていた加古川南高校では卒業論文を書くんですが、その時のテーマも「コーヒー」でした。

ロペス:高校生の段階で卒業論文を書くの?

ごっちゃん:はい。今はわからないですが、僕らの時は8000字でした。書き方もわからず四苦八苦しながら書いたのを覚えています。論文の詳しい内容は忘れましたが、「なぜ世の中でホンモノのコーヒーと出会えないのか」という題だったと思います。

ロペス:「ホンモノのコーヒー」か……。510cafeのミッションにもあるけど、「ホンモノのコーヒー」っていうのは一体何?

ごっちゃん:鮮度が高く、酸化していない「本来のコーヒー」のことですね。コーヒー豆は果物の種で油分を多く含んでいます。ですから焙煎から時間が経つと酸化してしまうし、どんどん劣化してしまう。一般的に市場に出回っているものは、焙煎から時間が経っていて酸化しているものが多いんですよ。コーヒーは生鮮食品なので「鮮度」が勝負。僕の淹れるコーヒーは、常にその鮮度を意識して焙煎したてのコーヒーを提供しています。詳しく話すともっとあるんですけど、続きは是非セミナーで(笑)

ロペス:なるほど。だいたいわかったけど、もっと気になる人はセミナーか(笑)うまいね(笑)

「良いもの」が認められるような社会へ

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ロペス:ごっちゃんが「ホンモノのコーヒー」を届けたいと思った、そもそもの理由は何なの?

ごっちゃん:市場にはコストの問題もあって、健康に良いコーヒーが出回っていないと感じているからです。先程も言ったように、生産過程や加工過程の中で鮮度が落ちたり酸化したりしてしまったコーヒーが広く飲まれている。その現状を知ってどうにかしたいなと。元々製菓の専門学校出身ということもあり、コーヒーやお菓子には思い入れがあるし、お客さんには良いもの、おいしいものを食べていただきたいという思いが強いんです。

ロペス:それが今の活動のルーツ、か。

ごっちゃん:あと、「ホンモノのコーヒー」を広く親しんでもらうために、自宅でも手軽に楽しんで欲しい。焙煎は業界の人間だけに限られた専門技術じゃなく、初めての人も簡単に「ホンモノのコーヒー」に挑戦できるんです。それがこのコーヒーの良いところだと思っています。

ロペス:健康志向の人が増える中、そういったニーズはどんどん高まりそうだし、売り手よし買い手よし社会よしの「三方よし」のモデルが出来上がっていて素敵やね。

ごっちゃん:はい。ただ、高齢化に伴って健康志向の人が増えているだけで、若者には中々浸透していないのが現状です。ジャンクフードやコンビニ弁当といった、安くてコスパの良い商品を選びがちな彼らにこそ、本当は届いてほしいんですけどね……。

ロペス:自分もラーメンやファーストフードといった、味が濃くて体に悪いものが大好きだからなあ。そういったところの意識を変えるのは中々難しい……。

就職ではない選択肢

ロペス:次に今の働き方について聞かせて。就職せずにいきなりフリーで活動をするって、結構稀なケースだと思うんだけど、その選択に至った経緯を教えてくれる?

ごっちゃん:製菓の専門学校の実習でケーキ屋さんに行ったことがあるんですが、体力的にとてもしんどくて。これは無理だと思いました。多分働いても、家に帰って愚痴、休日にも愚痴、そんな生活になりそうだった。結局それが嫌で辞めて、キャリアに傷がつくくらいなら、もういっそ最初から就職なんてやめておこうと思って、フリーでやり始めました。

ロペス:フリーでの活動を始めるにあたって、不安や葛藤は無かったの?

ごっちゃん:最初はありましたけど、今は無いですね。お客さんも徐々に増えてきているし、活動の場所も加古川市だけでなく、加西市や大阪の方まで広がってきました。コーヒーにも自信があって十分勝負していけると思いました。良いものなので、色んな層に認められるはず。美味しいものと不味いもの、体に良いものと悪いもの。両方を比べたら誰だって良い方を取ると思うんです。

ロペス:どうなんだろう。さっきの話にもあったように、若者にとって「良いもの」がそれにあたるかどうか……。俺は多少体に悪くても美味しいものであれば食べちゃう(笑)ラーメンしかりハンバーガーしかり……。健康志向の人はそうでも、誰もがごっちゃんの言う「いいもの」を選択するとは思えないな。

ごっちゃん:そこです。そういう意識を変えたいんですよ!美味しくて体に良いものはたくさんあります。何か健康に良いものって、味が薄いし美味しくないしでどうしても「我慢しながら」食べたり飲んだりするイメージを持たれがちですよね?それは普段味が濃いものばかり口に入れていて、感覚もどんどんそれに慣れてしまっているからなんです。適切に味覚を磨けば、繊細な味の変化を楽しめたり、素材本来の旨味に気づけたり出来ます。

ロペス:そうだったのか……。これまでの食習慣が変われば、自然と「おいしく」感じていくものなんやね。

ごっちゃん: そうなんです。今の活動も、単にコーヒーを売るだけではなくて、活動を通して健康への意識を高めて欲しいと思って行っているんです。フリーで活動していれば、自分自身のやりたいことや哲学、思想を貫ける。でもどこかに就職すれば、売るために自分を曲げないといけなくなるかもしれない。それは嫌だった。大変な道に進みはしましたが、自己満足だと言われてもこればっかりは譲れないですね。

510cafeのこれから

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ロペス:510cafeとして、今後の展開はどう考えている?

ごっちゃん:まずは実店舗を持つこと。これはすでに準備が進んでいて、年内の10月1日には営業開始できます。

ロペス:おお、ついに510cafeのお店が出来るんだ!

ごっちゃん:はい、オープンしたら是非ロペスさんも遊びにきて下さい!あとは展開として、スタッフを募集してそこの接客を任せたいなと思っています。自分の目的は売ることよりも広げることなので、そちらに注力していきたい。具体的にはコーヒーの生豆の卸売業や商品開発、食育セミナーなどですね。

ロペス:なるほど。売ることは手段で、それを通して広げていくところに本来の目的があると。

ごっちゃん:そうです。そのためには当然お金も必要なので、稼ぎつつ広げていけるのが一番理想です。難しいですけど。

ロペス:本当にね……。自分もただの物書きじゃなくて、それを通して地域社会に貢献していきたいと思っている。でもお金が無いとそれも出来ないもんね。お互い理想のためにしっかり稼いで、実現していけるよう頑張ろう!応援してるよ!

ごっちゃん:ありがとうございます!

【撮影協力】
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出張写真 coco*roni
カメラマン 櫻井 季咲

ポートフォリオ
インスタグラム

インタビューを終えて

「最近の若者は落ち着いていてパッとしない」

それはこの地域に来て、よく耳にした言葉でした。たしかに際立って何かを成している若者に出会う機会は少ないし、「ミレニアル世代」の特性として落ち着いている若者が多いのも肌感覚としてある。そもそも「ほどほどパラダス」と呼ばれる地方都市の地域性もあり、中々エッジの効いた人材が育たないのかもしれない。

でも、それを良しとしない「異端児」は、例えどんな時代であれ、どんな環境であれ必ず現れます。ただ現状の仕組みに乗っかるのではなく、自分で「仕組み」をつくり、理想の社会のために動く「異端児」が。

「コーヒーで世界を変えたい」

そう語る彼のようなプレイヤーが、地域社会の未来を明るく彩り、活性化させていくのではないでしょうか。

兵庫 播磨 姫路 加古川  インタビュー palette 510cafe コーヒー NPO法人一杯のコーヒーから地球が見える

510cafeで淹れられる一杯一杯のコーヒー。そこから生まれる新しい食の未来に期待しています。

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こちらから。

この記事を書いた人

ロペス

1992年、奈良県生まれ。少年の心を忘れない26才児。paletteの編集長兼ライター。通称「ロペス」。畿央大学教育学部を卒業後、東京の人材派遣会社に就職。その後小学校教諭、塾講師、認定子ども園保育補助を経て現職。人、モノ、場所の魅力を引き出し、記事として発信するため日々奮闘中。目下の悩みは「終わらない成長期」。ダイエット方法募集中。