エリアの期待値を上げるシンプルな法則〜まちのリブランディング〜【MANABIYA×MTW@姫路コワーキングスペースmocco:加藤 寛之(株式会社サルトコラボレイティヴ)】

『どれだけ素敵なハコ(建物)をつくるか』が問われた20世紀を終え、21世紀は「どうやってハコを使うか」が問われてきている」

冒頭、その一言から始まった今回の「MANABIYA×南町Talkingweekend」
不動産需要が減る中、乱立したハコモノをどのように活用するかに頭を悩ませている行政、不動産オーナーの話はまちづくりの業界でよく聞きます。

「どうすればこの場所(建物)の価値をあげられるのだろう……?」

そんな課題に対して解決の糸口を探るべく、今回設けられたテーマが「エリアの期待値を上げるシンプルな法則〜まちのリブランディング〜」でした。
ゲストにお越しいただいたのは株式会社サルトコラボレイティヴ代表で都市計画家の加藤 寛之氏

イタリア語で「仕立て屋」の意味を持つ「サルト(sarto)」の名前を冠する会社を設立し、地域の価値を縫い合わせ向上させる仕掛けを数多く打ってきた加藤氏に、エリアの価値を上げる法則について学んだ今回のイベント。
その様子をご紹介いたします。

旅するMANABIYA×南町Talkingweekend

旅するMANABIYA

MANABIYAのかえりみち
世界の広さ、人の優しさ、まちの多様性に触れ
心が少し大きくなり、心が少し温かくなり
明日が少し楽しみになって帰って欲しい
そんな思いで開催しています。
(HPより)

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旅するMANABIYAのHP。
過去のイベントレポートはこちらから。

南町Talkingweekend

姫路コワーキングスペースmoccoのスタッフが、「是非この人にお話を聞きたい!」と感じた魅力的なゲストをお呼びし、お酒と軽食をあてにフランクに皆さんとともに交流する場。それが南町Talkingweekendです。
姫路城が見えるコワーキングスペース6階イベントスペースにて、いつもと少し違う特別で知的な空間をしつらえておもてなしします。

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これまで開催したイベント。
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エリアの期待値を上げるシンプルな法則〜まちのリブランディング〜

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地方再生の動きが盛んになる中、どの地域もこぞってマルシェイベントやマーケットイベントを立ち上げています。
しかしその取り組みが本当に地方の再生につながっているのか?といった疑問を抱くようなイベントも多々あります。

まちをにぎやかし、エリアの期待値を上げ、店舗誘致や人を呼び込むにはどういった戦略を描けば良いのでしょうか。

今回はまちに変革を起こす青空市を全国25エリアで展開している株式会社サルトコラボレイティヴ代表、加藤氏にお越しいただき、「エリアの期待値を上げるシンプルな法則〜まちのリブランディング〜」をテーマにお話しいただきます。
是非ふるってご参加くださいませ。
(イベント告知文より)

加藤 寛之(株式会社サルトコラボレイティヴ)

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1975年千葉生まれ。株式会社サルトコラボレイティヴ代表。
大学在学中よりシンクタンクで働きsarto.を設立。卒業後、イタリア大小20以上の都市を巡りローマに住む。2008年株式会社サルトコラボレイティヴ設立。まちに変革を起こす青空市を全国25エリアで展開。大阪市、大東市、丹波市、三田市、伊賀市、鹿屋市では地元の有志と法人設立等によりエリア再生に主体的に関わる。また、住まいのある大阪阿倍野にて良き商いを守り育てるBuy local、自ら経営するSTAY local(宿)とTHE MARKET Bakery等まちの期待値を高めるムーブメントをライフワークとして取り組む。

地域に新しい挑戦を生み出す

イベントは先述の通り、「ハードの時代からソフトの時代へ」といった社会背景の話に始まり、続いて加藤さんが取り組まれているプロジェクトの紹介が行われました。

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今回も姫路市を中心とした播磨地域の方々にご参加いただきました。

地域の衰退の影に「新しいチャレンジが減った」ことが関係していると考える加藤さん。マーケットをはじめ様々なプロジェクトを立ち上げ、新しい地域の担い手を育成し、地域に新しいチャレンジをたくさん生んでいます。

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これまで加藤さんが関わったマルシェ・マーケットイベント。
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目的は集客ではなく、まちの変革。

地域活性の一助として、「地域に『経済圏』、つまり地域内でお金が回るような仕組みづくりが大切だ」と語る加藤さん。大手チェーン店が地域のお金を吸い出し、都心に集めていく動きとはまったく逆に、都心に集まっているお金(外貨)を地域に動かし、そこで回っていくような仕掛けを数多く打っています。

地域で新しい挑戦が生まれて良い商売が始まると、地域外のお金(外貨)が入ってきて地域で回るお金の総量が増える。つまり地域の経済規模が大きくなる。
経済的に活性化した地域の価値は上がり、新たなプレイヤーが育つと同時に新たな挑戦が生まれ、さらに経済を回して大きくしていく。

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こういった好循環が今回のテーマである「エリアの価値を上げる」結果につながっていくのだとお話されていました。

「現象」ではなく、「原因」を探す

そもそも、地域活性化やまちづくりを行う前に、まちに元気がない「原因」とは何なのかを正確に把握する必要があります。

ただ、加藤さんがおっしゃるにはその「原因」をちゃんとわかっていないケースが多いそう。
というのも「多くの人が『現象』『原因』だと誤解している」からとのこと。

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これらは地域が衰退した「原因」ではなく、地域が衰退した結果生まれている「現象」。

賑わいがない、既存店舗の衰退、コミュニティ位の弱体化……。これらはよく「原因」として挙げられますが、正しくは地域が衰退した結果あらわれている「現象」なのだと言います。

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真剣に聞き入る参加者たち。

ここで加藤さんは、地域の衰退、まちに元気がない原因を「人がまちに求めている価値が変化した」と再定義。

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過去に人々がまちに求めていた役割と、現在人々がまちに求めている役割が違ってきており、そこに対応できていないまちが衰退していく。だからこそ、これからの時代人々に必要とされるまちの役割が何なのか?といった仮説を立てることが重要だそうです。

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ビジョン(ゴール)は「未来のお客さん」を対象に

プロジェクトにおいて、一番大事なのはもちろんビジョン(ゴール)。

加藤さんはビジョン(ゴール)を設定する際に「未来のお客さん」が誰かを考えることの重要性についてお話しされていました。

先述に「これから求められるまちの役割に対して仮説を立てる」とありましたが、その役割を求める層こそがまさに「未来のお客さん」、つまりプロジェクトのターゲットになります。

「未来のお客さん」を考える上でポイントとなるのが、性別や年代、住んでいる地域といった「属性」ではなく、「志向」でカテゴライズするということ。

「行動力がある」「友達の時間を大切にする」「文化や芸術の振興に興味がある」といった志向は、場所や年代、性別といった枠組みを超えて価値観での結びつきを生むため、ビジョン(ゴール)に対して一緒に進んでいく仲間としてとても心強い存在です。

まちづくりはターゲットを「属性」で捉えがち。

自分たちが目指すビジョン(ゴール)に共感してついてきてくれる「未来のお客さん」を中心に、力を注いでプロジェクトを進めていく。

そこで必要になってくる考え方が「ファンベース」と呼ばれるものです。

ざっくり説明すると、ファンとは”企業やブランド、商品が大切にしている価値を支持してくれる人”を差し、ファンベースとは”ファンを大切にし、ファンを基盤とした、中長期的に売り上げや価値を上げていく考え方”のこと。

「ファンベース」についての詳しい説明はこちらから。

「売り上げの8割は、全顧客の中でも2割のコアなファンが占めている」という話(パレートの法則)は有名なので、一度は耳にしたことがあるかもしれません。ファンベースとは、その2割のコアなファン(未来のお客さん)に注力しようといった考え方です。

ファンはいずれアンバサダーとなり、ブランドイメージをより広く伝え、新たなファンを連れて来てくれる可能性を秘めています。

少数精鋭から”ムーブメント”を起こす!

仮説を立て、ゴールを決めたら、次はどうやってゴール(ビジョン)までたどり着くかのプロセスを考えなければなりません。

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ビジョンは抽象的なものなので多くの人から賛同が得やすい一方、「登り方=戦略」の部分では人によってやり方に好みの違いがあるため、大多数の賛同を得ることはかなり難しいそうです。

そこで大事になるのが「少数精鋭で始める」こと。

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これはまちづくりでも頻繁に指摘されていることで、人数が多ければ多いほど折り合いをつけるのが難しくなり、大事な実行の段階にうつるまでに時間がかかり過ぎてしまいます。また、大人数での打ち合わせや会議では責任の所在が曖昧になり、「口は出すけど何もしない」人たちが幅を利かせ、「で結局誰が何をやるんだっけ……?」なんて全く生産性のない時間になってしまうことも。

コンパクトに始めて、徐々に広げていく形が理想的だとお話しされていました。

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マーケティングではおなじみの図。詳しくはこちらから。

上述の内容を踏まえた上で、最後にこう一言。

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この一言で会場の雰囲気がキリッとしたものになりました。
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MANABIYAの藤輪さんもこの表情。

ただ、個人的にこのキャッチーなメッセージは聞き手によっては誤解を生む恐れがあると思っていて、「未来へ引っ張っていく先頭の人は一部でも、一緒に進んでいく仲間には様々なタイプがあり、フォロワーシップを発揮しながら貢献する人たちもいる」といった意味で解釈をした方がいいと思っています。まちには様々な人が住んで過ごしており、何か特別な力を持った人たちだけのものではないですし。地域の多種多様な色(魅力)を発信するメディアを謳っているpaletteとしては、人によってまちづくりへの関わり方に違いがある、といった意味を添えてお伝えします。

イベントを終えて

現在姫路市では大手前通りの活用チャレンジ「ミチミチ」が行われています。

加藤さんのお話にあったように地域に新たな挑戦を生み、経済を活性化させ、新しい地域の担い手が育っていく可能性があります。少しですが自分もお手伝いしている一人として、今回の学びを生かして貢献していきたいと強く思いました。

加藤さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

※共同主催者の藤輪さんがイベントレポートを書かれています!
私とはまた違った視点でイベントをまとめられているので、あわせてお楽しみください!

旅するMANABIYA Report vol.31(note)

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