【兵庫県・加古川市】「主人公だけが登場人物じゃない。照らす側の生き方だってある」【映像クリエイター:Tea】

こんばんは。
播磨の魅力を発信するメディア「palette」のライター、ロペスです。

paletteではこれまで地域で活躍するプレイヤーを数多く発掘し、インタビューを行い記事で発信してきました。彼らはそれぞれ自分自身の夢や理想の実現のために日夜勉学に励んだり、目の前の仕事に取り組んだりしています。
たとえ苦難があっても、壁が立ちふさがっても、何度でも立ち上がって果敢に挑んでいく姿は見る人に希望を与え、「熱源」となってコミュニティを形成したり、ムーブメントを生み出したりしています。
私はそうした人たちをメディアでとりあげ、地域に伝え、熱量を伝播させていくことが地域活性化の一助になると信じて活動を続けてきました。

ただ、同時に活動を通して自分の中にある種の「もやもや」が溜まっていました。

彼らの生き方は言ってしまえば「ストーリー映え」する生き方で、メディアでとりあげ発信するとまるで正解のように受け取られてしまう。果たしてそれは良いことなのだろうか……。

プレイヤーとして突き進む以外の人は?
光の当たらない人たちは?

彼らはどこにいて、何を感じているのか。
paletteはそんな人たちの姿をちゃんと捉えられていないのではないか。

そうした「もやもや」を抱えていた去年の秋頃、とても素晴らしい記事に出会いました。
・世界は「夢組」と「叶え組」でできている

大まかに内容を説明すると、昨今「やりたいことがある人(夢組)」ばかりに焦点が当たりますが、「支える人たち(叶え組)」だって確かにそこにいる、といったニュアンスの記事です。この記事は私に大きな気づきを与えてくれました。

「『夢組』だけがプレイヤーじゃない。『叶え組』だって立派なプレイヤーなんだ」と。熱量を持ち光り輝く『夢組』の背後には、それを支えて照らしてきた幾人もの『叶え組』がいる。そのことに気付いた私はちょうどあるクリエイターを思い出していました。

「きっかけが掴めていないだけでいいバンドやいいアーティストってたくさんいるんですよ。僕はそんな彼らの力になりたい」

アーティストのMV(ミュージックビデオ)制作をしている一人の映像クリエイター。自身のことを「黒子」だと言い、「夢組」を照らす側の生き方に誇りを持って取り組んでいる彼こそ「叶え組」なのではないか。

知りたい。
まばゆい光の向こう側にいる、逆光で見えない「叶え組」の生き方、思想、哲学を。そしてpaletteを通して伝えたい。

加古川ライター、ロペスの人物インタビュー。
今回はスポットライトを少しずらしてみて、影の「立役者」を照らします。

Tea

兵庫 播磨 姫路 加古川 インタビュー palette バンド 動画 映像 MV Tea

兵庫県出身、1994年生まれの24歳。氷丘小学校、氷丘中学校を経て加古川北高等学校へ入学。高校一年生の時にドラムと出会い、三年生の文化祭でライブを行ったことをきっかけに音楽に興味関心を持ち始める。その後神戸学院大学人文学部へ進学し、軽音楽系の部活に入部、部長を務める。照明を担当する傍ら、ライブ映像制作も行うように。卒業後は東京の大手MV(ミュージックビデオ)制作会社へ入社。一年間映像制作を学んだ後、現在は関西へUターンし映像クリエイターとして活動している。映像以外の専門では博物館学芸員の資格を持っており、歴史、文化にも造詣が深い。

これまで手がけた作品

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fushigi fanclub アーティスト写真
兵庫 播磨 姫路 加古川 インタビュー palette バンド 動画 映像 MV Tea
ONE”AREA アーティスト写真
ONE”AREA「ANSWER」ミュージックビデオ
ONE”AREA「ギフト」
ライブミュージックビデオ
PARIS on the City! 「さよならエンジェル!」ミュージックビデオ
PARIS on the City! 2nd mini album「寧ろ最低だった恋のストーリー」
トレーラー映像

・ポートフォリオサイト
YouTubeチャンネル
「Tea」HP
・SNS
Twitter

「音楽」から「映像」へ

ロペス:TeaくんとはSNSで声をかけてもらって、ジケフォトに来てもらった以来かな?以前から「paletteにインタビューして欲しい!」って話を聴いていたので、今回それが実現できて良かったよ。

Tea:ありがとうございます。paletteは地域プレイヤーにとって憧れのメディアですから、本当に嬉しいです。今日はよろしくお願いいたします。

ロペス:早速なんだけど、映像と出会ったきっかけから教えてもらおうかな。

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Tea:きっかけは高校時代から始めたバンド、音楽活動でした。高校には軽音楽部が無かったので、有志のメンバーでバンドを組んで二年間練習し、高校三年生の頃に文化祭ライブを行ったんです。ステージで演奏した時はものすごい盛り上がり方で、人生最大の青春というか、ピークでしたね。それ以来音楽活動に傾倒するようになって、大学進学後は軽音楽部に入部し、そこで映像と出会いました。部活ではライブで演奏する以外にも様々な役割があって、僕の担当は照明。その傍ら、ライブの写真や映像にも挑戦してみたところ「これは面白い!」と思ってやり始めたのがきっかけです。

ロペス:そっか、入口は音楽なんだ。音楽は機材や練習場所にもお金がかかるし、初心者にはかなり厳しいって話を聞くけど、音楽はもともと好きだったの?

Tea:昔もそうですし、今でも大好きです。当時はYUIをずっと聴いていて、シンガーソングライターに憧れていました。また、僕はバンドでドラムを担当していたんですが、一番好きなドラマーがピエール中野さんという方だったこともあり、凛として時雨も大好きでした。今では映像制作が主になっていますが、学生時代は自分自身もステージに立って、バリバリ音楽をやっていたんです。その経験は少なからずMV制作に影響を与えていると思っています。

ロペス:映像クリエイターとして活動している今の背景には、元々自分自身がステージ上でパフォーマンスを行う演者だった過去の経験があったんやね。

ビジネス・トレンドの中心「東京」での挑戦

ロペス:大学卒業後はどういった進路に?

Tea:本格的に映像関係の仕事をしたいと思い、東京のMV制作会社に入社しました。就活の際は勤務地を特に限定せず、本当にやりたいことができるところを探して受けたんです。そうしたら運良く一番働きたいところで就職が決まりました。あとで話を聞くとかなり狭き門で、200人近く志望者がいた中で通ったのは僕を含めて3人程度だったみたいです。入社してからはプロダクションマネージャーという肩書で働いていました。テレビ制作で言うところのADみたいなものですね。プロデューサーに下についてロケ地を探したり、お金の交渉をしたり、アーティストのお弁当を発注したり……。撮影当日は監督の下でアシスタントとして走り回っていました。

ロペス:200分の3……すごい倍率!その狭き門をくぐって理想の仕事に就いたわけだけど、話聴いているとかなり大変そうだよね。クリエイティブ系って本当にしんどいって話も聞くし。

Tea:めっちゃ大変でした(笑)特に労働時間が馬鹿にならなくて。朝から晩までひたすら働いていました。月の休みが3日とかザラでしたし。健康的にも色々問題が出て来て、体重も8kg増え激太りしました。有名なアーティストと大きな仕事に取り組めたり、やりたい仕事に関われたりしていたのは良かったのですが、このまま仕事を続けていくのは身体的にも精神的にも無理だと思いました。もう辞める前は血便が出るまでになっていて、駅のホームで電車を待つ度に「これに飛び込めば会社を休める」なんて考えも出てくるように……。

ロペス:わかる。うつ傾向にある時って、そういう思考に入ってしまうよね。自分もインフルエンザにかかって会社を休みたいがために、意味もなく病院の待合室で半日過ごしたりすることもあった。今考えると普通じゃなかったなあ。

Tea:本当におっしゃるとおりで。まともに考えれば「普通じゃない」ってわかるんですが、当時は参っていて判断力が働きませんでした。ただ、大変な一方でビジネスとトレンドの中心である東京で仕事の経験が出来たのと、映像制作の下積み経験が積めたので、その点においては良かったと思っています。

音楽にとっての映像

ロペス:その後関西に帰ってきて映像制作を続けていると聴いたんだけど、主にどういった映像作品をつくっているの?

Tea:今はMVが中心です。アーティストからの依頼を受けてMVをつくったり、アーティスト写真を撮ったりしています。

ONE”AREA「ANSWER」
ミュージックビデオ メイキング映像

ロペス:MVをつくるにあたって、何か意識していることはある?

Tea:言葉では伝わりきらない部分を伝えたいと思ってつくっていますね。言葉には言葉の領域が、映像には映像の領域があると思っているので。自分の映像を通して、アーティストの伝えたいメッセージや世界観をより伝わりやすく出来るよう意識しています。

ロペス:じゃあTeaくんにとって「良いMV」っていうのは、アーティストの表現を助けられるようなものってことか。

Tea:そうです。以前までMVって、CDを買ってもらうためのプロモーションとしての位置づけだったんです。それがだんだん変わってきていて、最近の人って音楽との出会いがYoutubeなどのインターネット動画って場合が多いんですよ。アーティストでもCDじゃなくYoutubeだけで配信する形が多くなってきている。だから曲の音源だけじゃなく、映像ありきで音楽のイメージが決まってしまう。映像の果たす役割が大きくなっているんですね。そういった背景から考えるに、良いMVはアーティストがつくった曲の世界観を正確に伝えられているMVだと言えると思います。

ロペス:なるほど。たしかに自分も曲の音源を聴いた時、自然とMVが頭の中で再生されることが多い。以前までと違って、MVは単なる販促媒体といった役割ではなく、作品の一部になっているわけだ。

Tea:はい。だからこそ、アーティストが曲を通して表現したい世界観、伝えたいメッセージをちゃんと汲み取ったMVを制作できるように、映像制作の前に丁寧なヒアリングを行っています。そこから構成を考え、撮影、編集といった流れを経て納品するといった形ですね。

「照らす側」の生き方

ロペス:話を聴いていると、Teaくんの仕事って徹底したクライアントワークだよね。作品で個性を出したい、自分のことを知ってもらいたいという気持ちは無いの?

Tea:あまり「自分が自分が」って気持ちは無いです。僕は「黒子」だと思っているので、表に出ず縁の下の力持ちとしてアーティストを支えられれば、それが本望です。音楽活動やこの仕事を通して気付いたんですが、きっかけが掴めていないだけでいいバンドやいいアーティストってたくさんいるんですよ。僕はそんな彼らの力になりたいと思っていて。より多くの人に彼らの音楽を届けたいし、聴いてもらいたい。自分の力は、自分の映像は、彼らのためにこそあると思っています。

ロペス:自分の力は、アーティストのためにある……か。自分でない「誰か」を輝かせるために、TeaくんはTeaくんの力を使うんだ。

Tea:はい。僕が関わったことでアーティストに注目が集まるようになれば、心から嬉しいし、また頑張ろうって思いますね。まだまだ成長途中で経験も少ないですが、これから一つ一つ丁寧に仕事に取り組んでいって、アーティストを照らしていきたいです。

ロペス:そう思えるところが本当に素敵だよ。だってTeaくんだって元々アーティストでしょ?自分だってステージで称賛を得たいって気持ちもあったと思うんだけど、今は他のアーティストの成功を素直に喜べている。嫉妬せずに応援できるって、そんな簡単なことじゃないからさ。

Tea:そうなんですか?あまり意識したことがなかった(笑)

ロペス:これはかなり聞きにくいことなんだけど、Teaくんの言う「黒子」や縁の下の力持ちって、自分がステージで輝くことが出来なかったから渋々そこに甘んじているってわけではないよね?

Tea:ぶっ込んできましたね(笑)言いたいことはわかりますよ。もちろん僕自身評価を受けるのは嬉しいし、自分を知ってもらえたらありがたいです。元々ステージで演奏していたこともあり、そこは僕にとって夢の場所であって憧れもあります。だからといって今の自分を「渋々」選んだわけじゃない。音楽作品への関わり方は多様ですし、表に出ること以外にもたくさんやりがいはあります。

兵庫 播磨 姫路 加古川 インタビュー palette バンド 動画 映像 MV Tea
兵庫 播磨 姫路 加古川 インタビュー palette バンド 動画 映像 MV Tea
撮影中の様子。ファインダー越しにアーティストを見る眼は綺麗に澄んでいる。

Tea:みんながみんな主人公である必要はないじゃないですか。バンドで一番目立つからって、みんなボーカルやりますか?そうじゃないでしょう。ギターがいて、ベースがいて、ドラムがいて、それで一つのバンドや作品になる。僕はクリエイターですから。作品の評価が全てで、作品が自分を語ってくれると思っています。

ロペス:そうか……作品の評価が全て、か。自分はキャラやタレントで押し切っているところがあったから、話を聴いてTeaくんのように作品で勝負して、関わる人たちを照らしていけるよう頑張っていこうと思ったよ。今日はありがとう。これからも頑張ってね!そしていつか一緒に仕事しよう!

Tea:はい!ありがとうございます。一緒にお仕事が出来る日を心待ちにしています!

インタビューを終えて

人々の注目を集め、脚光を浴びる「夢組」の裏で、奢らず、主張せず、彼らを輝かせる影の立役者たち。逆光で見えにくいかもしれないけれど、光の向こう側に「叶え組」は確かにいました。

応援したいと思える誰かのために力を磨き、使用する。
「夢組」が夢に近づくと、まるで自分のことのように喜び、感動を分かち合う。そんな彼らにいったいどれだけの「夢組」が支えられてきたのでしょうか。
インタビューの中でも、

「アーティストにとっての成功が、僕にとっても成功だと思います」

とTeaくんは語っていました。

自分の力はアーティストのこれからを明るく照らす力。手がけた作品の向こうに、たくさんのアーティストの笑顔が見える。自分自身に光が当たることはなくとも、誰かを「照らす」ことにやりがいを感じ、誇りを持っているプレイヤー。彼らにとって「叶え組」は、「夢組」の言い訳じゃない。

地域を彩る一つの色であり、これからの未来を担う欠かせない存在でした。

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こちらから。

この記事を書いた人

ロペス

1992年、奈良県生まれ。少年の心を忘れない26才児。paletteの編集長兼ライター。通称「ロペス」。畿央大学教育学部を卒業後、東京の人材派遣会社に就職。その後小学校教諭、塾講師、認定子ども園保育補助を経て現職。人、モノ、場所の魅力を引き出し、記事として発信するため日々奮闘中。目下の悩みは「終わらない成長期」。ダイエット方法募集中。