【兵庫県・姫路市】場づくりコトづくりの100問100答【MANABIYA×MTW:中脇 健児(場とコトLAB)】

「イベントをしても中々人が集まらない」

「活動が広がらず、内々になってマンネリ化してしまう」

「最初は勢いよく始めたものの、続かなくなって辞めてしまった」

まちづくりの仕事をしていると、そうした声を至る所で聴くようになる。地域で何か事を起こそうとする人間はごく一部だ。そこからさらに活動を継続できるレベルとなると数えるほどしかいない。

人が足りない、集まらない。
活動が広がらない。
初期の衝動、勢いを維持できない。

事を起こしたことがある人間なら誰しもぶつかる大きな壁。それらを乗り越え、活動を広げて継続していくためにはどうすればいいのか……。

今回の「旅するMANABIYA×南町Talkingweekend」の、テーマは「場づくりコトづくりの100問100答」。まさにそうした課題に対しどう向き合っていけばいいのかを考える大きなヒントを与えてくれた機会だった。
参加者の課題をその場でヒアリングして手立てを考えていくという、膨大な引き出しの数と事例の検索スピードが無いと成り立たないライブ問答型イベント。

「場とコトLAB」代表、中脇 健児氏をゲストにお迎えした、場づくりの妙が細部に凝らされたイベントの様子をとくとご覧いただこう。

旅するMANABIYA×南町Talkingweekend

旅するMANABIYA

MANABIYAのかえりみち
世界の広さ、人の優しさ、まちの多様性に触れ
心が少し大きくなり、心が少し温かくなり
明日が少し楽しみになって帰って欲しい
そんな思いで開催しています。
(HPより)

姫路 palette 旅するMANABIYA 南町Talkingweekend 古書みつづみ書房 イベント
旅するMANABIYAのHP。

南町Talkingweekend

「南町 Talking weekend」は、姫路・はりまにおいて、まちづくり・デザイン・教育などの特定のテーマにちなんだゲストを囲み、お酒と軽食をあてにフランクに情報交換できるイベント。姫路城が見えるコワーキングスペースmoccoの6階イベントスペースにて定期的に開催されている。

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これまで行ったイベント。
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これまでのイベントレポート。
コワーキングスペースmoccoのHP。
継続的に月一でイベントを行なっています。

「場づくりコトづくりの100問100答」

姫路 palette 南町Talkingweekend 場とコトLAB イベント コワーキングスペースmocco

場をつくる、サービスをつくる。そしてそれらを続けていく、より良くする。そんな中で、疑問や悩みが出てくることがありませんか?

「なかなかサービスが広がらない……」
「イベントを立ててはみるものの人が集まらない……」
「ファンがつかずに困っている」

続けていきたい、育てていきたいと思うからこその “想い”や”悩み”について、中脇さんを囲んでお話します。
当日は是非皆さんの課題意識や心のモヤモヤをお持ち寄りくださいませ。
(イベント告知文より)

中脇 健児(場とコトLAB)

姫路 palette 南町Talkingweekend 場とコトLAB イベント コワーキングスペースmocco

“その場にいる人とその場だからできるコトを考える”をモットーに、「場とコトLAB」を2012年よりゆるやかに立ち上げ、2016年本格始動。14年間、伊丹市文化振興財団に所属し、地域と連携して手がけた「伊丹オトラク」「鳴く虫と郷町」は、いずれも街ぐるみの規模となり、10年以上続く。「遊び心」をキーワードに、アート、コミュニティプログラム、地場産業支援、教育、福祉など活動は多岐に渡る。
近年はファシリテーションやワークショップの専門家育成にも努める。共著に『タウンマネージャー』『地域×クリエイティブ×仕事 〜淡路島発ローカルをデザインする〜』(ともに学芸出版)。NPO法人ワークショップデザイナー推進機構西日本理事。京都造形芸術大学、大阪芸術大学、天理医療大学 非常勤講師。

<受賞歴>
「鳴く虫と郷町」
・2015年「サントリー地域文化賞」最終選考選出/サントリー文化財団
・2016年「地域再生大賞」優秀賞/共同通信社+地方紙45紙)

他、講師として参加した「淡路はたらくカタチ研究島」は「2013年度 グッドデザイン賞 ベスト100」、「ワークショップデザイナー育成プログラム」は、「2015年度 グッドデザイン賞 ベスト100および特別賞未来づくりデザイン賞」受賞。

参加者を”置いてけぼり”にしない配慮

「旅するMANABIYA×南町Talkingweekend」史上最大の集客数を誇った今回のイベント。会場にはたくさんの参加者が集まった。

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イベント冒頭、中脇氏は場を見回しモットーである”その場にいる人とその場だからできるコト”を思案。

「様子を見ていると初めましての方々も多いようなので、自己紹介からいきましょう」

の一言で始まった。

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「相手の知りたいことを聞いて付箋に書き出してください」との指示があり、自己紹介が始まる。自分がこれまで経験した自己紹介では「自分の知りたいことを書き出す」といった形が多かったが、相手に焦点を当てることで内省型ではなく、参加者同士の関係をつなぐ自己紹介になっていた。

その後「相手の知りたいこと」を書き出した付箋を前で共有。

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前で1対1の関係をつくるのではなく、体を開いて1対複数(場)の関係をつくる。参加者を巻き込む工夫がたくさん。
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語尾が上がる話し方も特徴的。言い終わりでトーンダウンすると場が盛り下がるため、アナウンサーなどは場面によって語尾を上げる技をよく使う。

一つ一つの意見に対し丁寧にフィードバックを返す中脇さん。ただ出てきた問いを列挙するだけでなく、一言コメントを加えることで参加者の中に「自分の疑問が場に認められた」といった受容感が生まれていた。

姫路 palette 南町Talkingweekend 場とコトLAB イベント コワーキングスペースmocco
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「場づくりの本質は”居場所づくり”である」と、小学校教員時代に学んだことを覚えている。私はこの場に居て良いんだ、存在が認められ受け入れられているんだ。そうした安心感があって初めて積極的に場に関わるようになるんだと当時教えられた。
中脇さんの場づくりでは冒頭からそうした配慮が随所にあらわれており、話す側と聴く側といった領域がいい意味で曖昧になっていた。

事例から導かれる方法。具体と抽象の往復

場が整い、ここから中脇さんの話が始まる。ちなみにここまで中脇さんが話をしたのは数分程度。まだ自己紹介さえしていない。
会場が温まり、一人ひとりに聴く構えができあがってから話し始めるところに場づくりの妙を見た気がした。

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参加者から出てきた問いをまとめ、その場で会の進行を構成。一つ一つの問いを拾いながらイベントは進められた。

問:まちのニーズを知りたい

最初にとりあげられたのは「地域のニーズを知りたい」「人の集まる場をつくりたい」といった問い。

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中脇さんは「あまりニーズを追わなくてもいいんじゃないか?」と語る。
誰かが熱量を持って始めれば、それに共感した人が自然に集まってくるとのこと。

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この時、コアメンバーやゆるく関わりたいメンバーなど、関わり方に幅を持たせればグラデーションのある場をつくることができる。入り口を設計する際、メンバーに合わせて敷居を設定することの重要性を教えていただいた。

姫路 palette 南町Talkingweekend 場とコトLAB イベント コワーキングスペースmocco
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真面目なだけでなく、楽しい部分も設計すればより広く人が集まる。

また、コアメンバーの役割として「次につないでいく」「ナナメの関係者を加える」といった話も。
居心地のいい環境で居心地のいいメンバーといると、次第に内向きの活動へと進み、新たなメンバーが入りにくくなってしまう。育った次のメンバーに役割を引き継ぐか、新しい風を起こしてくれる外の環境の人間にメンバーとして入ってもらうなど、新陳代謝を良くする取り組みを紹介していただいた。

姫路 palette 南町Talkingweekend 場とコトLAB イベント コワーキングスペースmocco
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ナナメの関係では学生の立ち位置についても説明が。
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問:人とのつながり方・活動の拡げ方

次は「つながり方」「活動の広げ方」について。

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ここでは中脇さんが取り組まれている地域メディアが紹介された。地域メディアを持つことにより、「取材」といった出会いの入り口ができる。これをうまく用いて

「是非活動を取材させてください!」

と、会う理由をつくって人とつながっているそう。
またこちらから出向くばかりでなく、迎え入れるコンテンツも用意し、お互いに行き来ができるような動線を持つのも良いとのこと。

姫路 palette 南町Talkingweekend 場とコトLAB イベント コワーキングスペースmocco
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自分も仕事の中で「出会い方」は意識していて、お互い「とりあえず会ってはみたものの何にもならなかった」となってしまわないよう、必ず次につなげられるネタや「会って良かったな」と思われるお土産を準備してから出会うようにしている。また会いたいと思ってもらえれば、関係はゆるくでも継続することができるからだ。
人と人とをつないだり、自分自身が誰かとつながったりする仕事をしている今。中脇さんのつながり方の話はとても参考になった。

その後「つながり方」に続いて、「拡げ方」についての問いへ。中脇さん曰く「即効性の高い解決策があるわけではない。だからこそ活動を継続して徐々に拡げていけるよう工夫する必要がある」とのこと。
具体的な方法として「誰かと組む」「コアメンバーは複数」が挙げられた。

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一人で活動をしているとどうしても拡がりに限界が来てしまう。共感し、協力してくれるコアメンバーが複数いれば、自分一人ではアプローチできない層へも拡げることができる。それぞれ得意とする独自のコミュニティがあるはずなので、お互いに持ち寄って相乗効果を生めるような組織づくりを行うことが大切だと学んだ。

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当日いきなりのお願いにも関わらず、ご快諾いただきグラレコをしてくださったのは岡田 英之さん。ありがとうございました!

取材を終えて

中脇さんのお話が終わり、イベントは終了。最後にみんなで集合写真。

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人の話を長時間聞くのが苦手な自分だが、中脇さんの話は全く苦ではなかった。

話がわかりやすいと言われる人の特徴に、「具体と抽象の行き来が上手い」といった点が挙げられる。具体的な事例ばかりの話だと「自分語り」「自慢話」といった印象を与えてしまう可能性があるし、抽象的な話ばかりだと「で?結局あなたは何の実績があるの?」と思われてしまう。
今まで積み上げた経験・事例とそこから一般化されたモデル。帰納と演繹を上手く組み合わせながら中脇さんの話は進められていた。

今回場づくりを仕事にしているプロの方が来ると知り、「一つでも多く中脇さんの技を盗んでやろう」といった気持ちでイベントに臨んだが、中脇さんの引き出しの数、技の数が多すぎて追い切れず、レベルの違いを思い知った。

コミュニティマネージャーとして仕事していくにあたり場づくりのスキルは必要不可欠。実践を繰り返しながら腕を磨き、一般化して「技」として使いこなせるよう今後も精進していきたい。

中脇さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

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こちらから。

この記事を書いた人

ロペス

1992年、奈良県生まれ。少年の心を忘れない26才児。paletteの編集長兼ライター。通称「ロペス」。畿央大学教育学部を卒業後、東京の人材派遣会社に就職。その後小学校教諭、塾講師、認定子ども園保育補助を経て現職。人、モノ、場所の魅力を引き出し、記事として発信するため日々奮闘中。目下の悩みは「終わらない成長期」。ダイエット方法募集中。