【兵庫県・姫路市】本を介して人と人とがつながる「まちライブラリー」【まちライブラリー:礒井 純充氏】

皆さんは「まちライブラリー」をご存知でしょうか。

本を介して人と人とをつなぐ「まちライブラリー」は現在全国各地の680箇所で開設され、カフェや公園、街角といった場所から病院や小学校のクラス、個人の家でも取り組まれています。

本棚は関わる人々が持ち寄った寄贈本で成長していき、運営は多種多様なバックグラウンドを持ったボランティアの協力で行っているという、まさに「みんなで育てる図書館」なのです。

まちライブラリーの詳細はこちらから。

本を介して人が集い、交流を深めてきた「まちライブラリー」。地域コミュニティの希薄化が叫ばれる昨今、こうした取り組みがどう地域に影響を与えるのか。その可能性を探るべく、今回は姫路コワーキングスペースmoccoにて行われたトークイベント「本でつながる×まちでつながる」に参加してきました。

本でつながる×まちでつながる

paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充

本を介して人と人とをつなぐ、みんなで育てる図書館「まちライブラリー」の提唱者である礒井 純充さんをゲストにお迎えし、「本を介したまちと人との『つながり』について」考えるトークイベント。

「まちライブラリー」についてはこちらから。
会場となったコワーキングスペースmoccoのHP。

「まちライブラリーブックフェスタ2019in関西」の開催期間に合わせ、まちライブラリーに取り組んでいる「ブックスポット」の一つである姫路コワーキングスペースmoccoにて行われました。

「まちライブラリーブックフェスタ2019in関西」の詳細はこちらから


まちライブラリーが全国680ヶ所(2019年3月末時点)に拡がった「今」、提唱者の礒井氏が伝えたいこととは何なのか。本と人とのつながりに興味関心をお持ちの参加者の皆様とともに、「本のある場所」の可能性について深く考える機会となりました。

礒井 純充(いそい よしみつ)

paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充

まちライブラリー提唱者、森記念財団普及啓発部長、大阪府立大学客員研究員。森ビルで「六本木アカデミーヒルズ」をはじめ文化活動に従事。11年より「まちライブラリー」を提唱、全国約680カ所以上で展開。13年まちライブラリー@大阪府立大学で「蔵書ゼロ冊からの図書館」、「マイクロ・ライブラリーサミット」を実施、15年には商業施設もりのみやキューズモールBASEにまちライブラリーを開設し、4年間で58万人以上来館するまでに育てる。グッドデザイン受賞。著書に「本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた」(学芸出版)他。

まちライブラリーの起こり

イベントはゲストの礒井さんの自己紹介、まちライブラリーの紹介から始まりました。

paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充

時は1980年代、ニュー・アカデミズム(これまで大学や研究機関といった閉ざされた中での「知」が大衆・商品化した社会現象)の真っ只中。礒井氏は社会人教育事業である「アーク都市塾」を設立しました。従来の学びの型である縦型構造ではなく、ニュー・アカデミズムに見られるような学際的で複合的な要素がまちづくりでは必要だと判断。当時の教訓は多種多様な人々がつながり合う現在のまちライブラリーにも生かされているそう。

その後2003年に六本木アカデミーヒルズが立ち上がり、会員制ライブラリーも誕生。現在3000人を超える登録者数を誇り、たくさんの人が利用しています。この仕組は現在のまちライブラリーの原点となっており、ここからすべてが始まりました。

まちライブラリーの仕組みは以下のスライドの通りとなっています。

paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充
まちライブラリーのシステムの紹介。
paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充
本にコメントを添えることにより、「人柄」がにじみ出るこの世に一冊だけの本になる。
paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充

顔の見える関係性を取り戻そう

六本木のアカデミーヒルズで誕生した会員制ライブラリーが「まちライブラリー」として発展し、全国に広がるまでにはたくさんの苦労があったと語る礒井さん。その一つが「お互いの顔が見えなくなった」こと。

会員数が増え、規模が大きくなったものの一人ひとりとの関係が薄くなってしまったといいます。

paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充
100名で2時間交流すると、一人あたりと話せる時間はなんと0.02分!

収益化・大規模化を目指してシステマティックになるにつれ、当初関わっていた身近な人が消えていく。この事に課題意識を持った礒井さんはここで転機となる出会いを経験します。

paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充
礒井さんに大事な気づきを与えたお二人。

礒井さんはお二人と関わる中で、「自分は名刺の肩書を重視し、数字につながるようなつながりしか持てていなかったのではないか……」と我が身を振り返り考え方を改めたそうです。

それ以降「顔の見える関係」を大切にできる場作りをしようと実践。現在のまちライブラリー型のイベントへと至ります。

paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充
従来では単発のイベント(マスマーケティング型)でお互いの参加者のつながりが生まれていなかった。まちライブラリーではソーシャルマーケティング型のイベントへ向かって進化し続けている。

非日常のイベントではなく、日常に寄り添った取り組みを

paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充

礒井さんのお話の後は参加者を交え質疑応答の時間へ。

個人的に印象に残ったのは「非日常ではなく日常」というお話。

「人が足を運びやすい場とはどこか。日常生活の延長線上にある場なんですよ。イベントつくってもそこに毎日行きますか?行かないでしょ?日常使いできるといったポイントが大事なんです」

と礒井さん。
イベントは非日常を味わえるコンテンツとして有効ですが、それを毎日となるとハードルが高い。抵抗なく足を運べるのが「図書館」の強みだと教えてくださりました。

関わる人を限定しない、幅のあるコミュニティ

paletteイベントレポート まちライブラリー 礒井純充

ある方が「高齢者向けのまちライブラリー」について質問をされたとき、礒井さんは

「マルチジェネレーション(多世代)、マルチパーパス(多目的)な場所が求められている」

と答えられました。

「子どもや大人、高齢者も楽しめるのが本の素敵なところ。世代を絞って、例えばママを対象にするとパパは行きにくいですよね。たくさんの幅のある層が楽しめるような設計がいいと思うんです」

例えばスーパーやショッピングモールにライブラリーをつくれば、お母さんが買い物を楽しんでいる間にお父さんと子どもが本で楽しめます。様々な世代が様々な用途で使える場所。それこそがまちライブラリーの魅力なのかもしれません。

取材を終えて

播磨地域にてイベントの企画運営を行っている自分にとって、「お互いの顔の見える関係を大事にする」「非日常より日常」といったお話はとても勉強になりました。
これまでのように数を集め、継続しない単発イベントを繰り返すのではなく、徐々に関係が深くなっていくような場作りをしていこう。その為に参加ハードルが低い「日常」に寄ったコンテンツをつくろうと、礒井さんのお話を聞いて思いました。

気軽に参加し、長く愛されるような場をつくりにはどうしたらいいか。
そのヒントがいただけた機会でした。
今後学んだことを活かしながら、地域でより良い仕事をしていきます。

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この記事を書いた人

ロペス

1992年、奈良県生まれ。少年の心を忘れない26才児。paletteの編集長兼ライター。通称「ロペス」。畿央大学教育学部を卒業後、東京の人材派遣会社に就職。その後小学校教諭、塾講師、認定子ども園保育補助を経て現職。人、モノ、場所の魅力を引き出し、記事として発信するため日々奮闘中。目下の悩みは「終わらない成長期」。ダイエット方法募集中。