【兵庫県・加古川市】「人々のココロに『火』を灯す音楽を」【作曲家:馬瀬みさき(Lantan)】

こんにちは。
加古川の魅力を発信するメディア「palette」のライター、ロペスです。

私の好きな言葉に

「一灯照隅 万灯照国」

というのがあります。天台宗の開祖である最澄が残した言葉で
「一つの灯りではすみっこしか照らせないけれど、それがたくさん集まれば国をも照らすことが出来る」って意味です。例え小さなろうそくの火でも、様々な人に燃えうつって広がっていけば、大きな力を持つようになる。

地域メディアの仕事をしていると、この「火」に出会う機会が多くあります。

めらめらと燃え上がり、次々に回りを巻き込んでいく赤い火。
派手さは無く静かでありながら、決して失わない高い熱量を持つ青い火。
様々な火と混ざり合いながら化学反応を起こし、鮮やかにほとばしる緑の火。

それぞれの「火」が各地で燃え上がり、人のココロをアツくしています。

今回はそんな中でも、一際まばゆい光を放つ可能性に溢れた「火」をご紹介。
SNS上で見つけた、今はまだ小さな種火。
これからどのように育ち、燃え上がっていくのか。

加古川ライター、ロペスの人物インタビュー。お相手は映画音楽を中心に活躍中の作曲家、馬瀬みさきさんです。

​馬瀬みさき

兵庫 播磨 palette インタビュー 加古川 デザイナー and デザイン 馬瀬みさき

1997年、兵庫県加古川市に生まれる。平岡小学校、平岡南中学校を経て加古川北高校へ。その後音楽の道を志し、大阪音楽大学のミュージッククリエーション専攻に進学。幼少期からピアノを始め、小学校でトランペット、ドラムに親しむ。現在は同じ大学の学生と映画音楽を制作する「Lantan」を立ち上げ、作曲家ユニットとして活動中。

参加作品

兵庫 播磨 palette インタビュー 加古川 デザイナー and デザイン 馬瀬みさき
大阪アジアン映画祭出品CO2助成作品『おっさんのケーフェイ』
兵庫 播磨 palette インタビュー 加古川 デザイナー and デザイン 馬瀬みさき
ヒューストン国際映画祭レミー賞受賞『おべんとう』
兵庫 播磨 palette インタビュー 加古川 デザイナー and デザイン 馬瀬みさき
東京国際映画祭2017招待作品『パンとバスと2度目のハツコイ』(今泉力哉監督)
兵庫 播磨 palette インタビュー 加古川 デザイナー and デザイン 馬瀬みさき
AbemaTV ドラマ『ふたりモノローグ』

ロペス:今日はよろしくお願いします。インタビューを受けてくれてありがとうね。

馬瀬:よろしくお願いします!こちらこそありがとうございます。palette、記事読んでいます。

ロペス:本当に!?ありがとう!どんな記事読んでくれたの?

馬瀬:フォトグラファーの方のインタビューを読みました。あと「モノインタビュー」も……。

ロペス:「モノインタビュー」……あれ、仕事じゃないからね(笑)趣味で書いているブログだから(笑)

馬瀬:でも本当に面白かったですよ。洗濯バサミにインタビューするなんて、普通考えないと思います。

ロペス:うん。俺もね、自分で言うのはなんだけど、普通じゃないと思う。一応真面目な記事も書いてるんだけどね……。じゃあ早速色々聞いていきたいと思うんだけど、音楽はいつから始めたの?

馬瀬:1歳11ヶ月からですね。音楽教室に通い始めたのがその頃です。

ロペス待って、未就園児じゃん(笑)

馬瀬:そうなんですよ(笑)なので初めはリズム遊びや歌を歌ったりが多かったです。3,4歳頃からピアノに触り始めました。元々お母さんが音楽教室の先生をしていたので、その影響もあると思います。小学校の頃からは金管バンドクラブに入り、トランペットとドラムをしていました。

兵庫 播磨 palette インタビュー 加古川 デザイナー and デザイン 馬瀬みさき

ロペス:なるほど。それからずっと音楽に親しんできたんやね。

​感情を演出する「映画音楽」

兵庫 播磨 palette インタビュー 加古川 デザイナー and デザイン 馬瀬みさき

レコーディングの様子

ロペス:今馬瀬さんが学んでいる「映画音楽」について聴きたいんだけど、演奏じゃなくて作曲の方向に進もうと思ったのは何でなの?

馬瀬:元々は演奏方面で活躍したいと思っていました。作曲を志したのは、久石譲さんの曲を聴いてからなんです。高校生の時に見た『小さいおうち』っていう映画のテレビCMで使われていた曲に魅了されて。高校生まではピアノの先生になりたいと思っていたんですが、人前で演奏することに慣れなかったのと、より多くの人に自分の曲を聴いてもらいたい、届けていきたいと思って、今の進路を選びました。

ロペス:そうなんだ。これって俺の偏見かもしれないんだけど、音楽をしている人って、音楽はもちろん「音楽をしている自分を見てくれ!」っていうのもあると思ってた。映画音楽って、そういう意味ではあまり主張が強くないイメージだけど……。

馬瀬:うーん。確かに映画音楽は映像ありきの音楽です。だからといって脇役だとは思っていなくて。例えば感動する映画って、そのシーンの音楽を聴くだけで泣けてきたりするじゃないですか。音楽だけで人の心を震わせられるって本当にすごいなと思っています。

ロペス:音楽を聴くだけで、感動のシーンが想起されて泣けてくる……たしかにあるなあ。

馬瀬:ですよね。映像だけじゃなく、音楽も合わせて「感情」が伝わると思っているんです。映像と自分の音楽が交わって一つの作品ができあがる。その過程が本当に好きなんです。

ロペス:映像だけだと、「あ、あの人泣いているな」とか「喜んでいるな」っていう情報は伝わってきても、感情移入までは中々いかないもんね。そこに映画音楽が入って、感情を演出するってことなのね。

馬瀬:はい、そういった魅力が映画音楽にはあると考えています。また、音楽は感情だけでなく、メッセージを伝えることもできます。大学の授業では、映画だけじゃなくてCMの音楽をつくったりもするんですが、以前掃除機のCMの音楽をつくる授業がありました。最初は掃除機の機能を説明するシーンで、次は家の中で女の人が掃除機を使っているシーン。それぞれシーンごとに伝えたいメッセージが違うので、最初の機能説明のシーンではかっこよくてクールな印象を与える音楽を。後半の部分では「静かな掃除機」というイメージを演出するために音色を変えたり、ボリュームを下げたりした音楽をつけました。

兵庫 播磨 palette インタビュー 加古川 デザイナー and デザイン 馬瀬みさき

座学だけでなく、大学内外で実践を積んでいる。

ロペス:なるほど。そこまで考えて映像作品って出来上がってるんやね。今までそんな風に見たこと、聴いたことなかったな。それぞれのシーンでどんな曲があてられているのか。今度からちょっと気をつけて見てみよう。

​崩された「正解」と求められる「個性」

ロペス:今大学で映画音楽を学んでいたり、学外で仕事をしている中で、自分の課題や克服していきたい部分っていうのはある?

馬瀬:ありますね。よく「あなたの音楽には自分の色があまり出ていない」と言われるんです。「馬瀬にしかない音楽というのが見えない」と

ロペス:誰にでも作れそうな曲ってこと?

馬瀬:はい。音楽をつくるとき、映像をもとにしてつくるんですけど、「ここは感動する場面だから、こういう音楽だな」と思ってあててみても、憧れの作曲家さんの作品に似た感じの曲や、どこにでもありそうな曲になってしまうんです。友達に聴いてもらっても「あ、どこかで聴いたことある!」みたいな。もうそれを言われるとダメだなって思っちゃいますね。

ロペス:個性ってことか……。それに悩むのが大学2年生って、はやいな(笑)就活のタイミングでみんな悩むところなのに、もう既にその課題と戦ってるんだ?

馬瀬:「自分の個性が出ている音楽ってなんやねん!」って悩んでいますね(笑)大学の先生が、とても個性を大切にしている方で、君たちには音楽製造機械のようになってほしくないと。これから生き残っていくためには強みが必要なんだと、日々授業で鍛えられています。

ロペス:なんて素敵な先生……。ノウハウやスキルさえ身につければ何とかなるっていう「職業訓練校」みたいな大学が増えている中で、そういった部分まで考えて鍛えてくれる先生って、そうそういないと思うよ。

馬瀬:そうですね。大学に入ってから、自分の中にある「正解」をいい意味で崩されて、もう一度考え直したり見つめ直したり出来ている。本当に恵まれていると思います。

​より「高み」を目指して

ロペス:今立ち上げて活動している「Lantan」について教えてくれる?

馬瀬:「Lantan」は、同じ大阪音楽大学の堀本さんという方と一緒に立ち上げた作曲家ユニットです。「世界に羽ばたく」をモットーに、映画音楽を中心に楽曲提供をしています。

ロペス:学生ながら、実際に制作活動もしてるんやね。座学だけでなく、そうした実践を積んでいっているのは素敵だと思う。やっぱり組んでやっているのは、お互いにとっていい影響があるから?

馬瀬:もちろんそうです。先程言ったように、私は個性という点に課題がありますが、堀本さんはそのあたりが強いんです。逆に私は技術的なところでサポートをさせていただいています。お互いの課題をサポートし合い、高め合いながらいい作品をつくることができるので、いい影響があると言えると思います。

ロペス:なるほどね。お互いの課題を補いつつ、さらに高め合えるような関係っていうのは、チームとして理想の形やと思う。実際に「Lantan」では二人で色んな賞をとっているし、実績としても明らかになっているよね。

馬瀬:ありがとうございます。この業界は長い下積みが必須なので、できるだけ早い段階で取り組んで行きたかったんです。それを学生時代から経験できるのは嬉しいですし、もっともっと頑張っていこうと思っています。

ロペス:実際に今腕をを上げるために、何か取り組んでいることはある?

馬瀬:今は本を読んでいます。

ロペス:本!?それは専門書とかの類?

馬瀬:それも含め、色んな本です。こういった活動をしていると、自分の作った音楽を説明する機会も多くあるんですが、語彙が乏しくて中々上手く説明できないんです。そこを克服していきたいので、たくさん本を買って読もうと努力していますね。

ロペス:たしかに。つくるだけじゃなくて届けないといけないから。その際自分の作った音楽の魅力を伝えるって大事なことだと思う。

馬瀬:また語彙が豊かになれば、想像力もおのずと磨かれてくると思っていて。自分の中にある「表現の引き出し」をもっと豊かにしていきたいんです。そうすれば色んな感情を言葉で捕まえることが出来るし、音楽として表現することも出来る。だから今はその訓練をしています。

ロペス:表現の引き出しか……。そこが豊かになれば、自分の表現も豊かになってくるもんね。自身の課題に真摯に向き合って、日々努力を重ねている人間って、年齢にかかわらず素敵だし、自然と周りの人に「応援したい!」って気持ちを抱かせると思う。自分もこれからの馬瀬さんの音楽活動、「Lantan」の活躍を応援してるんで、頑張ってね!

馬瀬:ありがとうございます!頑張ります!

インタビューを終えて

私が初めて馬瀬さんを見つけたのは、Twitterを眺めていたときでした。

「お、面白そうな人がいるぞ」

と直感でピーンときて、メールを送りました。

そして堀本くんを含め「Lantan」のお二人と実際に膝を突き合わせて現在の活動や目標を聴いて、確信を得ました。
自分は間違ってなかったなと。

眼にね、「火」が灯ってたんですよ。

一応言っておくと、比喩ですよ、比喩。
別に自分、超能力者でも何でもないですからね。

教育畑で仕事をしていて、大人子供含めたくさんの人に出会ってきましたが、本気の人は自分の中にこうした「火」を持ってます。

でも「火」は、薪をくべていかないといずれ消えてしまうもの。
どれだけ明るくても、大きな火柱が上がっても、燃え続けるためには薪をくべ続けていかなければならない。

彼女のように常に「薪をくべる」努力を重ねている人は、その火を消すことなく、今後も燃え続けていくんだろうなと、そう感じました。

そしてまた、一度自分の中の火が消えてしまってくすぶっている人のココロに新たな火を灯すことが出来るのも、火を持っている人にしか出来ないこと。

「一灯照隅 万灯照国」

「Lantan」がその一灯を担い、音楽を通して地域を、人を、明るく灯していくことを願っています。

馬瀬みさきさん、インタビューを受けていただきありがとうございました。

「Lantan」について

兵庫 播磨 palette インタビュー 加古川 デザイナー and デザイン 馬瀬みさき

・HP
https://lantan.localinfo.jp/

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この記事を書いた人

ロペス

1992年、奈良県生まれ。少年の心を忘れない26才児。paletteの編集長兼ライター。通称「ロペス」。畿央大学教育学部を卒業後、東京の人材派遣会社に就職。その後小学校教諭、塾講師、認定子ども園保育補助を経て現職。人、モノ、場所の魅力を引き出し、記事として発信するため日々奮闘中。目下の悩みは「終わらない成長期」。ダイエット方法募集中。