【兵庫県・加古川市】よき教育者である前に、よき学習者であれ【枠惑(わくわく)】

こんばんは。

播磨の魅力を発信するメディア「palette」のライター、ロペスです。2月の末、久しぶりに大学の先輩から連絡をいただきました。「播磨地域で教育の学習会をしたいので、ロペスには第三者目線で記事を書いて欲しい」とのこと。

教育現場から離れて半年。ライターになってからのここ最近、あまり教育には触れられていませんでした。

ありがたい提案に、久しぶりに勉強できるワクワクと先輩とお会い出来る嬉しさもあって、二つ返事で快諾しました。

春。
それは始まりの季節。

昨年度を振り返り、今年度をどう過ごしていくかを考える、一つの節目となる大事な時期です。3月末の春の陽気の中、先輩を含め学習会に集まった現場の先生たち。来年度新しく迎える子どもたちのため、お休みの間にも関わらず自身の腕を磨くその姿は、間違いなく「教育者」でした。

加古川ライター、ロペスのイベントレポート。今回は新しい年度を迎えるにあたり、一年間一緒に過ごす子どもたちの成長のため、修練に励む教員たちの姿をご紹介します。

イベント会場

兵庫 播磨 加古川 姫路 ローカルメディア palette
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今回のイベントの会場は、東加古川駅から徒歩1分の場所にあるコミュニティスペース「Hikare’」。壁一面のホワイトボードと大型のテレビ、DVDプレイヤーなどのAV機器が使用可能で、普段は会議室、イベントスペースとして利用されています。現在は春休みのお子様を預かるサービスも展開中。幅広い年齢層に親しまれている地域のハブ的なスペースです。
詳しくはこちらから
【株式会社ワンピース「Hikare’」】

「自立した学び手を育てるには」

播磨の教育サークル「枠惑(わくわく)」の学習会は、テーブルのお菓子をつまみながら緩やかな雰囲気で始まりました。最初に軽く自己紹介をして近況報告もそこそこに、今回のテーマである「自立した学び手を育てるには」の議論へ。

兵庫 播磨 加古川 姫路 ローカルメディア palette 教育 教師 教員 学校教育 枠或
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4人1組のグループに分かれ、それぞれが考える「具体的な子ども像」をポストイットに書き、前のホワイトボードで可視化して全体で共有。その後、子どもにどういった力が育てばいいのかについて、それぞれの立場から意見が出され、盛んな議論が行われました。

「具体的な子ども像」が共有され、身につけたい力が明確になった後は、それを適切にはかり今後の指導にいかすための「教育評価」を考えることに。

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片岡先生から上がった評価指標「6Cs」

教育の世界で共有されている考え方として、「指導と評価の一体化」というものがあります。教育の説明責任(アカウンタビリティ)が叫ばれる昨今、指導を行った際はやったらやりっぱなしではなく、実際にどれだけ効果があったのかを評価しなければなりません。指導そのものはもちろんのこと、その結果子どもの身についた能力を測る評価指標もまた、教育に欠かせない視点なのです。

来年度をどう迎えるか

子どもたちに育みたい力、そしてその評価についてそれぞれの考えが出揃い、すり合わされたところで、次は実際にどのような教育を行っていくのかという話題に。それぞれの先生方が、これまでに学んできた事例や実践の紹介が行われました。

【提案資料】

学びの共有により、自身の学びを自身だけで留めることなく、全体で学び合っていくことが出来る。個人知では限界があっても、集合知になれば解決できる問題も。それぞれが自分のためだけでなく、全体のために学んでいる様子は、外から見ていてとても温かい時間でした。

最後は4月の学級開きから実践していきたいことについて発表し、次回以降の学習会で経過を報告することになりました。

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「仕掛け人」インタビュー

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兵庫県小学校教諭の門積健太先生

学習会「枠惑」を立ち上げたのは、兵庫県の小学校教諭である門積健太先生。実は私ロペスの母校である畿央大学の一期生で、大先輩にあたる先生です。

学生時代から大学内外で積極的に活動し、模擬授業サークルや子どもと関わるボランティアサークル、現職の先生方から学ぶ勉強会などを立ち上げ、今の畿央大学の学びの土壌を一から作り上げた伝説の第一世代の一人。

そんな門積先生が今回の学習会を立ち上げた背景には、どういった想いがあったのか。私ロペスが直接伺ってきました。

「より良く」していくためには

ロペス:お忙しい中お時間いただきありがとうございます。今回の学習会について、先生の想いを伺えたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。

門積先生:こちらこそ。自分も考えをまとめられるので、是非色々聞いてね。

ロペス:そもそも、なぜこういった学習会を立ち上げられたのか。その経緯を教えていただいてもよろしいですか?

門積先生: 以前参加した教育イベントで、熊本大学の苫野一徳先生から「自由の相互承認」についてお話を聞いたことがきっかけやね。これまでやってきた教育方法に限界を感じていて、もっとより良くできないかと悩んでいる時期だったから、まさに衝撃的な出会いだった。

ロペス:具体的に、苫野先生のお話されていた「自由の相互承認」に基づく教育は、どういった点が良かったんですか?

門積先生:児童ごとに目標設定ができる点が良かったかな。それまでは全員が共通の目標を目指していたけど、勉強に遅れのある子や学力的にしんどい子にとっては、それがプレッシャーになっていたみたい。今やっている方法では「個別」に目標設定が出来て、一人ひとりに合った進度で進められる。また「協同」の仕組みも出来ていて、目標が違ってもお互い助け合って学び合っていける。だから無理なく力が育まれていて、目に見える結果として出てきたね。

【詳細】
学びの「個別化」「協同化」

ロペス:なるほど。当時抱えていた課題意識から、もっといい方法は無いかと模索していたところで新たな教育に出会った。それがきっかけになったんですね。

よき教育者である前に、よき学習者であれ

ロペス:一つ気になったんですが、なぜ新しく学習会を立ち上げられたんですか?教育の学習会って、他でも結構やっていますよね?

門積先生:それは今働いている兵庫県に、学びを還元していきたいと思ったからやね。もちろん自分が外に出て、既存の学習会で学ぶのはありだけど、それだと自分だけしか学べない。じゃなくて、その学びをちゃんと地域に還元したいと思ったから、新しくこの地域で自分の仲間たちを集めて立ち上げたんよ。

ロペス:自分の学びだけに留めず、みんなで学べるように、ってことですか。

門積先生:あともう一つ。これは敎育界全体の課題だと思っているんだけど、どこの研修も大体が偉い先生のお話を聞いて、メモして、最後に質疑応答があって……って形になっている。これまでの学び方と何も変わってない。アクティブ・ラーニングという能動的な学びの実践をしようとする先生たちが、一方通行の一斉指導の形で研修を行っているのはおかしいんじゃないかと。

ロペス:あ、それめっちゃわかります(笑)

門積先生:でしょ?子どもには新しい学びを求めるくせに、先生たちは依然古いままの学びしかしてないのよ。それってどう考えてもおかしいと思う。子どもたちに教える前に、まず自分たちが出来ないと。そういう意味で、先生たち自身がアクティブ・ラーニングを体験できるような学習会をつくりたかった。

ロペス:「枠惑」の学習会では、知識や経験のある人が前に立って講演するようないわゆる一斉指導的なセミナーではなかった。一人ひとりがお互いに学び合えるような形をとっていましたよね。

門積先生:そう。でも俺は元々「自分が正解だ!」ってタイプで、ガンガン引っ張っていく方が得意なのよ。ただこれからの時代、そのやり方では子どもたちが幸せになれない。多様な子どもたちが幸せになれるよう、時代に合った方法をしっかり実践し、学びたいなと思ってやってるね。

ロペス:たしかに、僕が在学中初めて門積先生にお会いした時は「The 先生」というか、カリスマ性とリーダーシップで引っ張るタイプの人って印象でした。得意に逃げず、あえて苦手なことに挑戦されているその向上心はすごいですね。

門積先生:子どもたちに「やろう!」って言うことはさ、やっぱり先生たちもやった方がいいと思うんだよ。子どもに成長求める人が成長しようとしてないっておかしいでしょ?特に俺たちは、あと5年もすれば地域で研修を担当するくらいの歳になる。その時後輩たちにしっかり伝えられるよう、今できることをしていきたいなと思ってる。

ロペス:先生自身が新たな学びを体験できるように生まれた学習会……。それが「枠惑」なんですね。これからも是非、挑戦する先生たちの学びの場を続けていってください。今回はお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

門積先生:こちらこそありがとう。またやるんで、その時はよろしくね。

イベントを終えて

成長において一番障害になるのは、これまでの「正解」の枠組みである。

そんな言葉を何処かで聞いたことがあります。

これまでの「正解」にこだわり、新しい動きについていけなくなる人も多い中、常に時代の動きを見てその時々に応じた学びを実践する先生たち。得意に逃げず、たとえ苦手なことでもそれが求められているなら「あえて」挑戦してみる。そういった姿勢は日々関わっている子どもたちにも授業を通して伝わり、建前の言葉ではく「ホンモノ」の言葉として届いていくことと思います。

播磨の教育サークル「枠惑」。
春の陽気の中、挑戦する先生たちの取り組みが始まりました。


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この記事を書いた人

ロペス

1992年、奈良県生まれ。少年の心を忘れない26才児。paletteの編集長兼ライター。通称「ロペス」。畿央大学教育学部を卒業後、東京の人材派遣会社に就職。その後小学校教諭、塾講師、認定子ども園保育補助を経て現職。人、モノ、場所の魅力を引き出し、記事として発信するため日々奮闘中。目下の悩みは「終わらない成長期」。ダイエット方法募集中。